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2006年11月12日

●太平記忠臣講釈

明和3年(1766)10月大坂竹本座で初演
作者:近松半二、三好松洛、他

※明和4年には、江戸で歌舞伎化されている。
仮名手本忠臣蔵を意識して、その全体を書換えている。
・七段目は、紀海音の「鬼鹿毛無佐志鐙」三段目の丸取り。
歌舞伎「太平記忠臣講釈」へ

<第一>
●鎌倉御所の段
・桃井は、高師直への莫大な進物を贈る。塩冶判官も勅使饗応の役にあたり、師直に指図を請うが、賄が少ないため、事あるごとに恥をかかされる。とうとう堪忍できず刃傷を決意する。
●鎌倉御所大下馬先の段
・騒ぎをきいた大星力弥、石堂縫殿之助が駆けつける。矢間重太郞がら様子を聞くが、師直を駕籠が目の前を通りすぎても、何もできずに、無念の思いでかえる。

<第二>
●塩冶城内の段
・塩冶の国元では、酒宴の最中。大星由良之助は、大手門に蜂の争いがあるのを不吉に思う。
・そこへ鎌倉より主君刃傷、続いて切腹の知らせが届く。由良之助は酒に酔い、本心を見せぬ所、城明け渡しにつき、斧九太夫は討死の上、用金の分配を主張。その不足を見つけた九太夫は、勘定役の早野三左衛門を責める。
由良之助は矢間重太郞より受取った判官の切腹刀をみて仇討ちを決意する。

<第三>
●塩冶城内の段
・城明け渡しの酒宴をかおよ御前のために催す。由良之助は、かおよに恋慕すると見せかけると、出入の商人天河屋義平は由良之助を見限り、実は師直に内通している九太夫も欺かれる。
・九太夫は由良之助に切腹を迫るが、由良之助はご用金を盗んだのは九太夫であり、早野三左衛門は、自刃に及んだことを明らかにし、九太夫に切腹させる。
家中は、主君の仇討ちを約し、詫びる義平には討入りの武具を注文する。義平は我が子を由良之助に預けるが、人質の覚悟であることを察する。
はやる家中を制し上使を迎える。

<第四>
●斧九太夫後家お礼住家の段
・白川の九太夫後家には、吃りの娘お組が琴、母のお礼が兵法を教えている。石屋の五郎太は、武術の才を見込まれ、お組の婿に乞われている。五郎太の借金取りがくるが、娘の機転で母の帰りまで待っている。二人の武士が娘を貰いに来て、試合をするが五郎太に負ける。借金とりはこれをみて退散する。
・五郎太は、早野三左衛門の息子勘平で、仇討ちの連判に加えられる機会をうかがっていた。一方、お礼は、夫の仇由良之助を婿の助力で討とうとしている。板ばさみになった勘平は腹を切るが、その忠心を知った由良之助により連判に加えられる。

<第五>
●「道行人目の重縫」
・縫殿之助は、敵討に加わるために、養父石堂から勘当されようと祇園で浮橋を相手に余興の最中。鳥辺山心中の道行をして遊ぶ。薬師寺は、定九郎を連れてきており、この遊蕩をみて安心する。
●祇園揚屋の段
・浮橋は薬師寺に身請されるならば死ぬというが、治郎右衛門にとめられる。
石堂からの使者がきて、縫殿之助は勘当される。力弥のはからいで縫殿之助は早野勘平と名を変え、連判に加えられ、切って出た定九郎の首を討つ。

<第六>
●七条河原の段
・七条の材木小屋、惣嫁たちの様子。
・重太郞の妻おりえは、病気の舅と子供をかかえ、七条河原で惣嫁として働いているが、床を交わさない。そこへ浮橋が祇園から逃げてくる。浮橋は、実は重太郞の妹おむつである。おりえは、非人が河原に埋めていったものが金ではないかと探るが、非人が戻ってきて争いになる。雪明かりで顔をみると夫の重太郞であり、互いに驚き、二人は再び別れ去る。

<第七>
●喜内住家の段
・鞍馬口にある重太郞の父喜内の家では、喜内が長患い。重太郞の息子太市郎は疱瘡を病んでいる。おりえはおむつを伴って帰ってくる。
・重太郞は仕官して、鎌倉に下ると言って帰ってくる。喜内は二人の主に仕える人非人と怒る。重太郞は、親子の縁を切り、おりえも離縁して鎌倉に立とうとするが、おりえは太市郎を重太郞に渡す。重太郞は、太市郎の胸に小柄を刺すので、喜内は、重太郞の主の仇を討つ覚悟を知り、隠してあった金を与える。おりえは、操を疑われた苦しみと我が子を失った悲しみに自害。重太郞は、鎌倉に向けて出立する。

<第八>
●山科閑居の段
・山科に住む由良之助のところに、寺岡平右衛門の妻おきたと子の平吉がやってくる。鎌倉から師直の上使として、飾間宅兵衛が来て、由良之助が師直に仕官したいのなら、判官の子為若の首を差し出せと迫る。
宅兵衛は、実は平右衛門で、由良之助の心底を探ろうとしており、万一の場合に、我が子を身替にしようと先に遣わしていたのである。由良之助は、それを見破り、平右衛門を連判に加え、諸士共に鎌倉に向かう。

<第九>
●天河屋義平拷問の段
・討入りの武具や馬具を調達する義平は、薬師寺、石堂両人に拷問にあわされている。女房と忰由松が引出され、その面前で義平は油の熱湯責めにあい、はては由松が焼鏝の拷問の末に殺される。石堂は、薬師寺が理不尽に由松を殺したことをせめて、自分が引取る。

<第十>
●白州牢屋の段
・義士たちは師直の館に討ち入り、ようやく炭小屋の中で見つけた師直の首を上げる。それは拷問に疲れた義平の夢であったが、義平は大望成就を確信し、石堂に白状する。そこに平右衛門が注進にきて、由良之助一味の敵討がなったことを告げる。薬師寺は、討ってかかるが、石堂が蹴落し、平右衛門が薬師寺の首を討つ。義平はめでたく許される。

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