勧進帳

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かんじんちょう Kanjincho


歌舞伎

解説

長唄の舞踊劇。二世並木五瓶作。杵屋六翁作曲、四世西川扇蔵振付、天保十一年(1840)、七世市川団十郎が初演した。 歌舞伎十八番の一つで、前歌舞伎作品のうちの代表傑作であると同時に長唄の曲としても大曲。能の「安宅」を歌舞伎化したもので、その演出もふんだんに取入れた、当時としては全く新しい試みであった。 兄頼朝の疑を受けた義経は、弁慶をはじめ四天王に守られて山伏に姿を変え、奥州へ落ちのびる途中で安宅の関にさしかかる。関守は富樫左衛門。沈着剛胆な弁慶は白紙の巻物を勧進帳といつわって朗々と読み上げ、かつ山伏問答をもあざやかに切り抜け通過しようとしたが、鋭い富樫の追求は強力姿の義経にそそがれる。弁慶は窮余の一策で義経を打擲するので、富樫は弁慶の苦衷を察して義経を落としてやる。 九世市川団十郎の弁慶は絶品で、その演出を伝えた七世松本幸四郎も第一の当り芸だった。


画題

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解説

(分類:武者) (分類:戯曲)

画題辞典

勧進帳は市川家歌舞伎十八番の一にして、能の安宅に取りて之を劇となし。長唄を以て曲せるものなり、趣向総べて能の安宅に大同小異なり。七代目団十郎及び九代目団十郎の神技は長唄の名曲と共に世に推称せられ、随って芝居絵として画かるゝもの甚だ多し。「安宅」の条参照すべし。 (『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

あたか「安宅」及びくの部かんじんちょう「勧進帳」を見よ。 (『東洋画題綜覧』金井紫雲) 歌舞伎十八番の一、謡曲の安宅を脱化して長唄囃子を入れた演舞で、源義経の奥州落に加賀の安宅の関で関守富樫左衛門に見咎められ已に危かつた処を、弁慶が南都東大寺の客僧と称し勧進帳を読みあげ富樫を欺き虎口を脱れた事を脚色した、天保十一年河原崎座で初演、弁慶に市川海老蔵(七代目団十郎)源義経に八代目市川団十郎、富樫左衛門に三代目市川九蔵(六代目団蔵)が扮したといふ、其後、弁慶は九代目団十郎の当り役として喧伝され、其門下の松本幸四郎これを屡々演じてゐる。あたか「安毛」参照。 勧進帳は劇画として描かれ鳥居清忠にその作があるが、鏑木清方は『歌舞伎十八番』の中に之を画き、木村荘八にもその作がある。 (『東洋画題綜覧』金井紫雲)