清見
きよみ
画題
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解説
画題辞典
清見は駿河にあり、富士の山下にして本と清見関のありし所、今臨済の巨刹清見寺ありて知らる。瞻望の勝あり、三保松原より伊豆の翠微を一眸に収め得べし。三保と並び称せられて歌題となり詩題となり画題となる。
古く雪舟の図あり、又秋元子爵旧蔵に狩野常信筆富士、三保との三幅対あり。
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
東海道の一名所、いま興津の南、清水港の古名で、特に浄見崎と三保崎の間を清見潟といふ、古へこゝに清見の関があつた、今の清見寺の地をさしたものといふ、
清見寺元清見関、海門月落雨斑々、推窓指顧櫓声裏、多少簔翁罷釣還 (仙巣稿)
といふ詩のあるに依つてもそれと推せらるその清見寺は開基は詳かではないが、聖一国師の弟一関聖と云ふ人、これに関与したといふ此の関聖、一に鮹和尚といふ、浦人の捕へて殺した丈余の鮹に法語を授け蘇生放逐せしめたので、浄見長者その奇特に感じ浮財を喜捨して此の寺を建て、和尚をして開基せしめたと言伝ふ。駿河湾一眸の中にあり、海の方より望めば富嶽を背景とした景勝の地である。
清見関を見れば、西南は天と海と高低一に眼を迷し北東は山と磯と嶮難同く足をつまづく、磐下には浪の花、風に開春の定めなり、岸の上には松の色、翠を含て秋におそれず、浮天の浪は雲を汀にて月のみ舟夜出て漕、沈陸の磯は磐を路にて風の便脚あしたにすぐ、名を得たる所必らずしも興を得ず、耳に耽る処必らずしも目に耽らず耳目の感二ながら絶たるは此浦にあり、波に洗れてぬれ/\行けば濁る心も今こゝに澄めり、宜哉、此処を清見と名付たる。 (海道記)
清見潟を画いたもの、古く雪舟にあり、亦富士を中に三保と三幅対としたもの狩野家の作に多く、広重の『東海道五十三次』興津もこゝを画てゐる。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)