鸐雉

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やまどり


画題

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解説

東洋画題綜覧

鸐雉は普通に山鳥と書いてゐる、山鶏、山雉などともいふ、雉と同じく鶉鶏科に属し、形は殆んど雉と同じであるが、羽色は全く異り全身光沢ある赤銅色で、翼と後背などの羽は白い縁があつて黒色の斑を散らし、上は下より色が淡く白つぽい幅の広い縁があり、白色の粗い斑紋がある、尾は人の知る通り長く色は赤褐色でこれに黒と褐色とからなる三個の節を、名ばかり現はして居る、これは雄の姿であるが、雌も大体は雉の雌と同じやうで、唯咽喉が黄色がかつて居り、尾も幾分茶がかつた色に白い縁がある、山中深く棲息し、雉子のやうに平野には居ない、普通種は日本独特のもので本州各地に棲息し、普通種の外に赤山鳥、腰白山鳥などがある、此の鳥は尾羽を非常に大切にする処から、尾に関しては『をろのはつ尾』などの詞があり、これに鏡をかけて啼かせたといふ伝説もあり、また此の鳥はその尾羽の一枚におのが姿を映すといふ言ひ伝へもある。

山鳥のをろのはつ尾に鏡かけとなふべみこそなによそりけめ  (万葉集一四)

鸐雉を画いた作

張国祥筆   『梅竹山鶏』   島津公爵家旧蔵

無款     『老松山鳥図』  京都大覚寺蔵

石崎光瑶筆  『春律』     第九回帝展出品

阿部春峰筆  『深雪』     第十回帝展出品

今中素友筆  『峡谷幽禽』   第十五回帝展出品

小杉放庵筆  『山中秋意』   個人展覧会出品      

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)