竜口

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たつのくち


画題

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解説

東洋画題綜覧

日蓮三大法難の一、文永八年九月十二日名越の小庵に捕はれて、遂に竜口の刑場に引かる、然も天変俄かに起つて、危くその刑を免る。

かくて夜も子丑の刻なるに、すでに敷皮に引きずらる、聖人座に上らせ給ひ、御手をあはせ時は澆季におよんで神は国をさり給ふか、さりながら正直の頭にやどり給ふべし、しかるに日蓮は正法の行為なり、天神地祇はなんぞ霊山の約束をたがへ、擁後をくはへざらんやと仰せられしかば、重連が郎等依智三郎右衛門尉直重、すでに御首をはねんと聖人の御うしろに廻り、太刀ふりあぐれば、其の太刀をれて段々となる、また江の島の方より満月のごとく成るひかり物いで来つて諸人のまなこには、いく千万ともあらはれ辰巳より戌亥の方へ光り渡り御首うたんとせし武士どものうへに、雷のごとくなりひびきて落ちかゝる事鷹隼のかけるが如し、されば国中にてりかゞやき十二日の夜とは申せども人の面しろ/゙\と只白昼にことならず、其の後光りうしろの松山にうつるかと見れば、雲霞たちおほひ、たちまち闇夜と成りにける。  (日蓮上人御伝記)

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)