天竜峡

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てんりゅうきょう


画題

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解説

東洋画題綜覧

信州諏訪湖の水の一方が漲り落ちで天竜の流れとなり、此の流れ飯田に至つて両岸漸く狭まり、絶壁断崖これを挟んで大峡谷をなすもの即ち天竜峡である、阿仏尼が『十六夜日記』に

天竜のわたりと云ふに、舟にのるに西行が昔も思出されて、いと心細し、くみあはせたる舟たゞ一つにて多くの人のゆきさしかへる隙もなし

と記してゐるものは、ずつと下流であるが梁川星巌が

一道奔流劈地開、灘声捲両闘風雷、蹇予無翼共飛翀、両道天竜河上来。

と賦したのは将に天竜峡のことである、近く日下部鳴鶴、天竜十勝を選んで曰く

垂竿磯、烏帽子岩、姑射橋、帰雁崖、浴鶴巌、炯々潭、樵燕洞、仙牀磬、芙蓉洞、竜角峰

と、その炯々潭、竜角峰、帰雁台の辺は将に中心地点であり、この勝景をなすもの花崗岩で、水は岩を穿ち石を削つて淵をなし、潭となり、瀬となり歩々景観は変つて応接に遑もない。

天竜峡を画いた作

山内多門筆  『天竜四季』   第一回帝展出品

池上秀畝筆  『竜峡煙雨』   東京会展出品

矢野橋村筆  『姑射橋附近』  第四回日本南画院出品

井口華秋筆  『天竜川』    第七回文展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)