一場物いちばもの(単式能たんしきのう)とは、二場物にばもの(複式能ふくしきのう)に対して、シテが中入なかいりをせず、登場してから終曲部まで舞台にい続け、シテの登場・退場という点から見て、場が二つに分かれない曲を指す。「複式能」に対して「単式能」と呼ばれることもある。
一場物は、四番目物よばんめもの(雑能ざつのう)の現在能げんざいのうに多く、たとえば、《隅田川すみだがわ》・《安宅あたか》がそれに当たる。
また、全体が複式夢幻能の後半部分に近い《経正つねまさ》などの一場物もある。