C3-2 天保改革時の楠木久子

「賢女烈婦伝」「楠延尉正成が妻」
絵師:歌川国芳  判型:大判錦絵
出版:弘化2年(1845)頃
所蔵:大英博物館 作品番号:2008,3037.15623.

【解説】
「賢女烈婦伝」は、良妻賢母や賢女とされた歴史的に著名な女性を描いた歌川国芳の歴史画揃物である。画中には、賢女烈婦の伝記と逸話が述べられている。本図では、進言した戦術が受入れられず、自分の死を覚悟して戦いに臨む正成が、桜井の宿にさしかかった時に11歳の正行をよび、故郷へ帰るよう諭した「桜井の別れ」のこと、正成の戦死を悲しむ正行が父の後を追って自害しようとしたのを、母久子に止められて訓戒され、後に父のように様々な智謀を用いて多くの戦功を挙げたのは、この母親の教えがあったことと記されている。(a)