日本文化情報



一条戻橋

頼光四天王の一人、渡辺の綱が都を見回りに馬に乗って一条戻橋にさしかかった。そこには、若く美しい女性が立っていた。綱が不思議に思い、声をかけると、「私は五條まで帰る道ですが、道が悪くて困っています。どうか馬に乗せて送ってください」という。
綱は女を乗せて、橋を渡ろうとして、ふと水に映った姿をみると、それは恐ろしい鬼ではないか。綱は、刀に手をかけると、鬼はたちまち正体を現し、綱の首筋をつかんで、空に飛上っていった。
綱は、刀を抜いて、鬼の腕を切落すと、鬼は悲鳴を上げて、飛び去っていった。綱は、鬼の腕を持帰り、箱にいれて注連縄をはっておいた。

それから六日目の夜、綱のおばあさんが訪ねてくる。「綱、この間、鬼の腕をとったそうだが、見せておくれ」。綱は箱のふたを開けて、鬼の腕を見せた。お婆さんは左手を出して腕をつかみ、たちまち鬼になって天井を突破り、空高く飛び去っていった。

蟹満寺

山城の国のはなし。ある娘は、村人が蟹を縛って持って行くのをみて可哀相に思い、蟹を譲ってもらって、川に放してやった。
しばらくして、娘の父親は、田んぼで、蛇が蛙を食べようとしているのをみて、思わずももしも蛙を放したら、娘を嫁にあげようと言ってしまう。蛇は、その言葉を聞くと蛙を放し、藪の中に消えた。

牛若丸


平治の乱で平家に敗れた源義朝が殺された、あとには常盤御前と今若、乙若、牛若という三人の子供たちが残された。平清盛は、常盤御前の願を聞き入れ、子供達を助けることにし、三人は別々にお寺に預けられることになった。末っ子の牛若は、七歳のときに京都の鞍馬寺に入り、夜になると鞍馬山の天狗に武術を習って敵を討つ決意をかためるのであった。