雲岩寺

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うんがんじ


画題

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解説

東洋画題綜覧

下野国那須郡東山といふ地にある臨済宗の名刹、崇徳院御宇、大治年中、初叟元和尚の開基といふ、芭蕉の『奥の細道』にも、此寺ヘ詣でてゐることを記し、『新続古今集』や『風雅集』にも開基仏国禅師のことが現はれてゐるので、有名である。

雲岩寺のおくに、仏頂和尚の山居の跡あり、『豎横の五尺にたらぬ草の庵むすぶもくやし雨なかりせば』と、松に炭して岩に書付侍りと聞え玉ふ共跡見んと、雲岸寺に杖を曳けば、人々すゝんで共にいざない、若き人多く道のほど打さわぎて、おぼえず彼麓に至る、山はおくあるけしきにて、谷道遥に松杉黒く苔したたりて、卯月の天今猶寒し、十景尽る所、橋をわたつて山門に入る、さてかの跡はいつくのほどにやと、後の山によぢのぼれば、石上の小庵岩窟にむすびかけたり、妙禅師の死関、法雲師の石室をみるがごとし。

木啄も庵はやぶらず夏木立

とりあへぬ一句を柱に残し侍りし。  (奥の細道)

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)