通盛

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道盛(みちもり)

三番目物・公達物

『平家物語』巻九や『源平盛衰記』における道盛と小宰相の愛の別れ、道盛の戦死と小宰相の入水などを題材としている。

あらすじ

阿波の鳴門の浦にて僧が毎夜平家一門を弔っていると、女と漁翁を乗せた小舟が漕ぎ寄せ僧の読経を聴聞したいという。僧が経を読んだあと、この浦で果てた人を知っているかと聞くと、平通盛と小宰相の局のことを語り海中へ沈み姿を消す。

<中入>

経を読んでいると僧の前に通盛・小宰相の霊が現れた。一ノ谷の合戦前夜の悲しい別れや最後の有様を語り、僧の読経によって成仏できたことを感謝してまた海へと消えて行く。

能絵 場面解説 

能楽図絵」*UP0924

能「通盛」の冒頭、シテとツレが舞台に出る前に、後見が舞台上に作り物を設置している。この作り物は篝火附舟である。 この場面の描写は面白く、後見が作り物を置く舞台でのひとこま、そして幕の内側で静かに出を待つシテとツレを同時にあげている。見所の観客の目線になり、同じ時間軸で現在の舞台進行と同時に幕の内側を巧みに描出している。鏡の間全体の様子を描くのではなく、じっと出の時を待つシテとツレに焦点を当てている。 この作り物には、真ん中にツレが入り、後ろ側にシテが入ってシテが漕ぐ様を見せる。この構図は能「竹生島」も同じである。みちもり


画題

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解説

画題辞典

通盛、平家の公逹なり、越前の三位として知らる、一の谷の戦に討死す、その契りし女房に小宰相あり、その條を見るべし。謡曲の「通盛」は主として通盛と小宰相との一條を叙す。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

権中納言教盛の子、世に越前の三位といふ、初め重衡と共に源行家を洲股川に撃ち、次で但馬守経正と共に木曽義仲と戦ひ、到る処に転戦したが、一の谷陥るや一旦は湊川に遁れたが遂に佐々木俊綱に討たれた。その小宰相との深い契りは、『平家物語』に情史として遺りまた、謡曲にも綴られてゐる、一節を引く

「そも/\此一の谷と申すは前は海、上は嶮しき鵯越、まことに鳥ならでは翔り難く獣も足を立つべき地にあらず、「唯幾度も追手の陣を心もとなきぞとて、「宗徒の一門さし遣はさる、通盛も其随一たりしが、忍んで我陣に帰り小宰相の局に向ひ、「既に軍、明日にきはまりぬ、痛はしや御身は通盛ならで此浦に、頼むべき人なし、我ともかくもなるならば、都に帰り忘れずば、亡き跡とひてたび給へ、名残惜しみの御盃、通盛酌を取り指す盃の宵の間も、うたゝねなりし睦言は、たとへば唐土の、項羽高祖の攻めを受け、数行虞氏が涙も是にはいかでまさるべき、灯闇うして、月の光にさし向ひ、語り慰む所に、「令弟能登の守「早甲冑をよろひつゝ、通盛は何処ぞ、など遅なはり給ふぞと、呼ばゝりし其声のあら恥かしや能登の守、我弟といひながら、他人より猶はづかしや、暇申してさらばとて、行くも行かれぬ一の谷、所から須磨の山の後髪ぞ引かるゝ。

と小宰相との別離は大和絵の好画題である。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)