平家物語

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総合

鎌倉前期の軍記物語。へいけものがたり


画題

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解説

画題辞典

平家物語、普通本十二巻、長門本二十巻、信濃前司入道行長の作と伝ふ、不清盛の家を起してより一族の西海に亡ぶるまで、専ら平家一族の榮枯盛衰の事蹟を記し、優美なる文章を以て遷轉の事實を最も巧妙に叙したり、もと琵琶に合せて盲人に語らせしものなりといふ、平家琵琶。或に不曲といふもの即ち是れなり、之を絵に図せしもの少なからず。狩野元信筆びょうぶ一雙(京都紳泉院所蔵)

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

鎌倉時代に於ける軍記物語の代表的傑作で普通流布本は十二巻とし、平家一門の栄枯盛衰続いて源氏興隆の顛末を仏教の因果説と無常観とを基礎として叙説し、当時の武勇、恋愛、恩愛、芸術、宗教、霊異、縁起、教訓等を優雅流麗なる文章を以て織込んである、筆者は信濃前司行長といふ説行はれてゐたが、異説としては、葉室時長、憲耀法師、源光行など挙げられてゐる、昔は此の物語を琵琶に合せて弾奏したものである。『徒然草』『後鳥羽院の御時の項』に曰く

この信濃入道、平家物語を作りて、生仏といひける盲目にをしへてかたらせけり、さて、山門のことを、殊にゆゆしく書けり、九郎判官のことは詳しく知りて書きのせたり、蒲冠者のことは、よく知らざりけるにや、多くのことども記し漏らせり、武士のこと弓馬のわざは、生仏東国のものにて、武士に問ひ聞きて書かせり、かの生仏が生れつきの声を、今の琵琶法師は学びたり。

平家物語は全巻総て画趣に満ち、それ/゙\好画題となつてゐるが、その全巻、主な画題を一双の屏風に画き込んだものに、狩野元信の作がある。(京都神泉院蔵)

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)