沓手鳥孤城落月

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ほととぎすこじょうのらくげつ


総合


歌舞伎

史劇、三幕。坪内逍遙作。明治三十八年五月、大阪角座において十一世片岡仁左衛門等によって初演。 大阪落城の前夜人質である千姫の脱出を知って淀君は半狂乱となる。秀頼は見かねて自らの手で母を殺そうとするが、左右の者に止められる。一方秀頼母子の助命を家康の許へ願い出た片桐且元は、その願いがいれられ、病体をおして母子救出のために城へ帰ったが、すでに天守に人の手はあがり、秀頼母子は自害したと知る。馬上で来た家康も且元をあわれみなぐさめるが、彼は遂に絶命する。 「桐一葉」とともに、大阪落城を扱った二部作である。淀君の性格と且元の心理がこの両作を通じて示されているが、この作では一層の発展をみ、五世中村歌右衛門の当り役として完全なる演出を見せ、歌舞伎の劇術上にも新生命を与えたものとされる。