桂花

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けいか


画題

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解説

東洋画題綜覧

桂花とは木犀のことである、木犀は支那の原産で柊科に属する常緑植物、高さは一丈余に達し葉は楕円形で対生、その質硬く辺縁に多数の鋸歯を刻む、秋になると葉の腋から小さい四裂した花を多数に附けるが、これに黄と白の二種があり、黄色の方を金木犀と呼び、白色のを銀木犀と称へ雌雄異株で何れも芳香馥郁として庭園植物の尤とせられる、極めて異名多く、巌桂、圭木、詵枝、仙友、仙客、巌客、金雪古香、珠英、金粟、幽隠樹、九里香、無瑕玉花などがあり、幽隠樹といふ名に就いては、林道春の『梅村載筆』左の如く記されてゐる。

木犀はじめ天より下りて霊隠の山に到る、秋に到れば、その香遠きに聞ゆ、時人これが何の花なるを知らず、時に天人ありて李木、李犀と称す、これ天上の桂花なり、其露此の地に落ちて種となり生ずるのみ、二人の天人なり、云々、これ何の書に出づるといふことを知らざるなり、されど珍らしきことなり、李木李犀といふ名の字より木犀とつけたるなるべし重ねて考ふべし。

と、月宮殿の広寒宮に咲く花として有名で『白氏文集』にも『蟾宮分異種人世散清香』の句がある、亦、菊、水仙と共に『三香』に数へられ、梅、菊、水仙に伍して『四清』に挙げられ、梅、蘭、百合、茉莉、梔子、水仙などと共に『七香』に推され、『仙客』としては十二客に、『仙友』としては『十友』に、『巌客』としては『三十客』の中に数へられてゐる。(月宮殿広寒宮[[[菊]]水仙百合茉莉花梔子花[三香]]四清七香十二客名花十友三十客

桂花の画かれた作

沈南蘋筆  『一路華封』    早川千吉郎氏旧蔵

同     『桂花図』     信州飯田氏旧蔵

呂紀筆   『花鳥四幅』の中  島津公爵家旧蔵

毛益筆   『桂花霊猫』    酒井伯爵家旧蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)