夕霧阿波の鳴渡

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ゆうぎりあわのなると


総合


歌舞伎

浄瑠璃、三段、世話物近松門左衛門作。正徳二年(1712)竹本座。江戸の高尾、京の芳野と並び称せられた大阪の名妓夕霧が延宝六年に死んだので、直ちに追善劇「夕霧名残の正月」を上演して以来、浄瑠璃や歌舞伎に多く脚色されたが、近松のこの作が以後の諸作の原拠となっている。今日上演されるのは上の巻「吉用屋」だけ。 夕霧のために勘当の身となった伊左衛門は、紙子編笠の零落した姿で師走の吉田屋の門へ立つ。情ある亭主の計らいで夕霧に会うが、阿波の大尽が客になっているのでその不実を責め、やがて夕霧の真心が分って心が解ける。そこへ伊左衛門の親から身請の金が届けられ、伊左衛門は勘当を許される。 上方歌舞伎の代表的な和事の芸風を伝えたもので、夕霧を待つ間の伊左衛間の演技に和事の真髄を示す。