博多小女郎浪枕

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はかたこじょろうなみまくら


総合


歌舞伎

浄瑠璃、三巻、世話物近松門左衛門作。享保三年(1718)竹本座。 同年に起った密貿易事件を題材としたもので、近松世話物の中でも浪漫的な香りの高い傑作の一つ。上の巻「元船」「奥田屋」、中の巻「心清町」が今日舞台に残る。 京の商人小松屋惣七は博多へ下る途中、手剃九右衛門の海賊船に乗り合せ、ふとその秘密をのぞいたため海中へ投げ込まれる(元船)。が運よく助かった惣七は、博多の奥田屋に馴染みの遊女小女郎をおとずれ、はからずも毛剃に再会する。毛剃に仲間入りを強いられ、惣七は小女郎との恋をとげるためやむなく一味に加わる(奥田屋)。わが子惣七が海賊の群に入ったと聞いた父惣左衛門は、涙と共に惣七を諭し、惣七夫婦を落してやる(心清町)。小松屋惣七の運命の変転が中心となっているが、 七世市川団十郎が長崎土産として手剃を演じて以来、毛剃中心の芝居となった。元船では舞台一ばいの豪華な船が珍らしく、奥田屋では惣七との出合いが見どころ。