演劇博物館企画展示
1998年10月21日〜12月6日

初 代 歌 川 豊 国 展

 初代歌川豊国展は、演劇博物館70周年記念リニューアルオープン時の、企画メイン展示として開催されました。そこでは、これまであまり目にすることのなかった優品が数多く出品され、歌舞伎研究における役者絵の可能性を垣間見させてくれました。ここでは、そのすべての作品をWWW上で再現します。  

展示室への入口

坪内逍遥の豊国研究
寛政・享和期の作品
文化前期の作品
文化後期の作品
文政期の作品
揃い物
様々な様式
錦絵狂言づくし
改版・異版・画中画
落款の変遷
役者似顔

開催にあたって

 坪内逍遥の活動は多岐にわたるが、役者絵の蒐集と整理もそのひとつで、代表的成果としては『芝居絵と豊国及その門下』がある。当館にはその研究資料となった役者絵がそのまま残っている。この資料群が逍遥の演劇博物館を構想する出発点になっていることはよく知られているところである。今回、記念すべき七十周年リニューアルオープンを迎え、その最初の企画展として、初代歌川豊国展を開催できることは、その意味で感慨にたえないものがある。
 さて、演劇博物館創設時点での役者絵は総数約二万三千枚と言われているが、現在、館蔵役者絵の数は、約四万六千枚と、ほぼ二倍の量に達している。これらは、その後、当館が積極的に購収したものも多いが、むしろさまざまな方面からの支援によって世界最大の役者絵コレクションに成長したのである。その内、初代歌川豊国の作品は、重複も含め約三千三百枚にのぼり、ここにおいても世界第一の圧倒的な規模を誇るものであることが判明した。
 当館では、この膨大なコレクションをできる限り適切な方法で公開すべく試行錯誤を繰り返してきたが、現在は内外からの協力を得て演劇博物館役者絵研究会を毎月一回ずつ開催し、公開のための研究成果を地道に蓄積している。この研究会は、今年で五年目になるが、基本的な研究姿勢は、一貫して逍遙が方向づけた方法をとることにある。つまり、役者絵を一つの歌舞伎資料と見て、他の歌舞伎上演資料(番付、正本、台帳、評判記など)と細かく比較検討し、その位置づけを明らかにすることである。
 本展示では、初代豊国の作品を通じて役者絵の魅力を明らかにするとともに、「演劇資料としての役者絵」という視点をさらに追求してみたい。

似顔当てクイズ 役者絵とは 役者絵のキーワード 落款について 落款当てクイズ

監修 演劇博物館役者絵研究会