和歌懐紙

05 後柏原天皇宸翰和歌懐紙 一幅 (五四、五×四〇、三)
後柏原天皇(一四六六〜一五二六)の父は後土御門天皇、母は庭田長賢の女朝子。
朝儀再興に力を注ぎ、また歌にも優れて歌集『柏玉集』がある。
「待客聞郭公」「風前夏草」「寄名所述懐」の三首を記す筆跡はおおらか、かつのびやかで、この時代の天皇の書の流れの到達点を示すものである。
したがって正親町天皇も子の後陽成天皇に対して、後柏原天皇の手になる手本を勉強することを薦めている。
本幅の裏には天文二三年(一五五四)正月日付けの山科言継による「此三首懐紙、後柏原院宸筆也」との極めがあり、
それと関連する記事が『言継卿記』の同月二三日条にみえる。