C4-4 「仮名手本忠臣蔵」大序の顔世御前

「仮名手本忠臣蔵」「顔世御前 嵐大三郎」
絵師:歌川芳虎 判型:大判錦絵3枚続
上演:明治8年(1875)3月 新富座(東京)
演目名:「天満宮国字掛額
所蔵:立命館ARC 作品番号:arcUP5405~5407.

【解説】
 絵師歌川芳虎によって描かれた仮名手本忠臣蔵の大序の兜改めの一場面の役者絵である。「仮名手本忠臣蔵」の大序は浄瑠璃においても歌舞伎においても現在まで数少ない上演され続けている演目の一つである。三枚続きの絵となっており左側には石堂右馬允の役者尾上菊五郎と桃井若狭之介の役者坂東彦三郎が描かれている。真ん中の絵には市川子団次演じる足利直義と兜をもった顔世御前役の嵐大三郎がおりその右隣の黄色の着物の塩谷判官(中村翫雀)と高師直(市川左団次)が描かれている。そしてこの絵は、新田義貞の持っていた兜を鶴岡八幡宮の宝蔵に納めることを巡りたくさんある兜の中から本物を選ぶために呼び出された顔世御前が見極めている所である。そんな中、ここでも高師直が顔世御前に強引に言い寄る場面は描かれており、歌舞伎や浄瑠璃においても顔世御前は師直に執着される存在であり巻き込まれていくと考えられる。

(林)

【参考文献】

「歌舞伎細見」https://www.dh-jac.net/db/nej/results1024.php?f1=BN01715000-0380-C-21&enter=default閲覧日12月8日


忠臣蔵初段 国政【参考図】
「忠臣蔵初段」「高野もろ直 松本幸四郎」「かをよこぜん 瀬川路三郎」 国政〈1〉文化3年(1806)4月江戸・市村座 立命館ARC(arcUP3148)