C4-2 歴史画としての顔世と師直

「塩冶判官館之図」「顔世御前 高野師直」
絵師:楊州周延 判型:大判錦絵3枚続  
出版:明治18年(1885)
所蔵:国立国会図書館 作品番号:本別7-93.00-043~045.

【解説】
 周延は三枚続きの風俗画を描きその中でも美人画を得意としていた。この作品は三枚続きのため一枚ごとに人物が描かれており、でてくる師直が湯上り後の顔世を覗き見る場面である。
 顔世御前は真ん中の絵の立っている女性であり少し胸元が開いていることで気品さとほのかな色気を感じとることができる。すぐそばに侍女がついていることは江戸時代の[美人絵づくし]の絵と同様であるが、侍女一人に加えこの絵には顔世の世話をする3人の侍女も多く描かれており色とりどりの着物を着ていることが特徴的である。女性が多くいることで作品自体の華やかさを演出しているといえる。またこの作品中の師直の近くに手引きの侍女がおらず、烏帽子もかぶってないことも江戸時代の作品との比較すべき点である。

(林)

【参考文献】

浮世絵辞典(https://www.dh-jac.net/db/nej/results1024.php?f1=ukiyoeD305-22&enter=default)閲覧日12月8日