―特集― ある消防署員の一日(22-3)

「京都ニュース ―特集― ある消防士の一日」
私は、京都市中京消防署に勤務している消防士である。消防第一線としての責任は盤石のように重い。皆さんご存じの望楼勤務も重要な部門である。これは、太陽の激しく照り付ける昼も、寒風の吹きすさぶ冬の夜も、一瞬の休みなく続けられている。もう一つの仕事に、防火診断と言って、割り当てられた家庭を訪問して火事の起こる原因がないか、どうすれば安全かなどを診断して歩く仕事がある。これは、家庭の中に入り込むために、初めは嫌がる人がいて困ったものだが、今は協力してくれる家が多くなってきた。出動に備えて、車の点検を怠らないのは言うまでもないことだ。ホースは使った後こうして手入れをしておく。これも、消防精神の一つである。消火栓を調べる、水利調査という仕事がある。火災予防には万全を尽くしているが、今日も出火のベルが鳴る。私たちは一刻も早くと現場に急ぐが、私たちの誠意を裏切られたような気が一瞬心の中をよぎる。この恐ろしい光景をご覧なさい。昨日まで、いや一秒前までの温かい家を、焼き尽くしていく悪魔の炎の姿を。私は、勤務のためには文字通り火の中でも飛び込む決意を持っている。けれど、いつもこのようなことの再び起こらないよう祈ってホースの筒先を握っているのだ。