A04顔見世番付

「新役者付」
English Commentary
絵師:(鳥居派) 判型:大判墨摺
上演:享保18年(1733)11月1日江戸・市村座
資料番号:arcSP02-0478 所蔵:立命館ARC.

【解説】
 歌舞伎では、11月から1年の興行がスタートした。その最初の興行を顔見世興行という。顔見世興行では、その1年間出勤する役者の一覧表としての顔見世番付が出されたが、それを正式には「新役者付」と称した。役者は、年単位で座と契約を結び、年俸は年三回に分けて支払われた。現代では、プロスポーツ選手と同じで、9月の興行が始まる頃には、贔屓の役者の移籍先や年俸の噂で持切りとなった。そのため、その結果がみられる顔見世番付は、配り始めの時期には、値が高騰したと言われている。
 顔見世番付の上半分には、新旧の役者名がその前年の所属地、役柄とともに並べられるが、文字の太さや位置により、微妙な序列が表現されている。また、下半分の絵組には、中央に座頭や立女形を配し、これもまた微妙な役者の力関係を踏まえながら全員の姿が描かれている。代々鳥居派の絵師が担当しており、似顔絵を描かず、役柄の特徴で描かれている。
 顔見世番付は、各種番付の内最初に成立をみたと考えられるが、それでも享保期までは、残存数が極めて少なく、貴重である。(a.)
【用語解説】