4.2.0.連獅子

能の「石橋」を題材にした松羽目物の大曲。
歌舞伎舞踊の獅子物の1つであり、獅子の子落としの伝承を再現しながら、親獅子の愛と子獅子の成長と共に獅子の世界の厳しさを描いた作品。
作詞は河竹黙阿弥。文久元年(1861)5月初世花柳寿輔が、子の芳次郎の名披露目に二世杵屋勝三郎作曲で素踊りで初演。歌舞伎の本興行としては明治5年(1872)7月東京・村山座で、黙阿弥が増補、三世杵屋正治郎が作曲し、五代目坂東彦三郎と沢村訥升(四代目助高屋高助)が上演した。その後、明治34年東京座で前後のツナギに狂言「宗論」を用いて、現行形式が定まった。
映画「国宝」では、主人公の喜久雄が、上方歌舞伎の名門花井半二郎に引き取られて初めて見る演目として重要な作品。半二郎と実子の俊介という実の親子による上演であり、後ろ盾のない喜久雄はさまざまな意味で衝撃を受ける。

能舞台を模した松羽目の舞台に、狂言師右近(親獅子)と左近(子獅子)が登場し、天竺清涼山のありさまと、千丈の断崖から子獅子を突き落とす親獅子の試練を語る。谷にかけられた不思議な石橋は、長さおよそ三丈(10m)、幅一尺(30cm)に満たないもので人を寄せつけない。橋の向こうは知恵を象徴する文殊菩薩の霊場である。獅子は文殊菩薩の眷属であり、牡丹の花に戯れている。
前半では親獅子が子獅子をきたえるために谷へ蹴落とし、子獅子は花道に行って下に居る。本舞台の親獅子が「わが子は死んだか」と愁嘆を見せて谷底をのぞき込むと、子獅子は親獅子の姿が水面に映っているのを見て、水鏡を通して親子の目が合うクライマックス。子獅子は奮い立って、一気に谷を駆け上がる。
後半では、能「石橋」の後シテ通りの白い毛の親獅子と赤い毛の子獅子が登場して狂いを見せ、『連獅子』を象徴する場面として知られている。特に有名なのが髪洗いを含む毛振りで、長く重たい毛を大きく振り回しながら踊ることで、獅子の生命力や荒々しさ、勢いを表現している。毛が大きく弧を描くたびに舞台全体に躍動感が生まれ、観客を強く惹きつける。
また、現行の歌舞伎の上演では、前半と後半の間に狂言「宗論」からとった間狂言をつける。間狂言は、能の前場と後場をつなぐ狂言であり、能を題材にした松羽目物ならではの演出である。間狂言では、前半で起こった出来事や物語の設定、流れなどを解説し、物語の進行と観客の理解を助ける。

(上杉o)

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