4 光悦謡本 熊野

江戸時代、十七世紀
縦24.0×横18.1
紙本雲母摺絵木版
eik2-0-78

 光悦などの援助のもと、角倉素庵は17世紀初めに古典の出版に着手する。後に「嵯峨本」と呼ばれるもので、中国作品に加え「伊勢物語」や「方丈紀」、「徒然草」など日本文学を多く含む特徴がある。中でも観世流謡本は100帖を数え、このプロジェクトにおいて重要な位置を占めていたのがわかる。光悦デザインの版下を雲母摺の料紙に印刷しており、文学のみならず美術史の観点からも興味深い。
 この作品は武将平宗盛の愛人「熊野」を主人公にしたもので、表紙には獅子丸牡丹図が施されている。当文庫には他に「江口」と「さねもり(実盛)」がおさめられている。