巻2.03 三社の神
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三人の男たちは行く手を阻む巌や巨木も軽々と退けてゆき、一行は頼もしく思う。
多くの険難を超え、鬼が城も間近と思ったが、一行は不気味な洞へと突入する。洞の中は、光や生物の声も絶え、唐土にあると聞く暗穴道を彷彿とさせた。勇猛果敢な一行でさえ、生きながら地獄に堕ちたのかと肝を冷やし、足取りはよろめきつつも、互いの声を力とし、ようやく洞を抜けることができた。
人心地ついた一行に、三人の男たちは、ここが鬼が城であることを伝える。側の川を遡れば、多くの眷属たちが待ち構えているが、決して騒がず、それより奥に入り酒呑童子と対面したとき、先ほど渡した酒を勧めて昏倒させ、討伐の折には自分たちも助力すると告げる。
一行に助言したのち、三人の男たちは朝霧に紛れ、気高い声で、自分たちが八幡、住吉、春日の神であることを明かし、光を放って姿を消した。
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