巻2.04 血を濯ぐ女房

頼光一行が、三神たちの教えどおりに川上を目指すと、流れる水が紅色に染まり、川の傍らで、年二十八あまりの高貴で美しい女房が、血まみれの小袖を濯いでいる光景を目撃する。

頼光たちは、酒呑童子の眷属が自分たちを騙すために、女房に変化しているのではないかと怪しんだが、女は一行に、この地は名の知れた恐ろしい鬼の棲み処なので、命が危ういからすぐに引き返せと涙ながらに訴える。

女房は、自分が花園中納言の一人娘であること、春の頃に都で鬼に捕われたこと、自分のほかに三十六人の姫君が捕われ、童子に召し使われており、少しでも童子の気にそぐわないことがあれば、殺されて酒の肴にされてしまうこと、そして、召し使いの番にあたった堀江中書殿の姫君の顛末を語り、今、こうして姫君の血まみれの衣を、今日の当番である自分が洗っているのだと嘆いた。

頼光は女房に、自分たちが筑紫彦山の山伏であり、鬼共に加持祈祷して、降伏させることができたら、女房たちを都へ連れて帰ろうと約束し、鬼の岩屋までの様子を女房に語らせる。

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