巻2.02 大江山へ

頼光一行は、三人の男たちに対してただならぬ気配を感じていたものの、毒酒や兜を与えられた一件から、彼らが一行の氏神である確信を強めた。

やがて夜も明け、一行と三人の人々は宿をあとにした。三人の男たちは頼光一行の先に立ち、彼らの案内をつとめる。

一行はついに大江山へとたどり着くが、目の前には鳥獣でない限り分け入るのが難しいほどの険しい山河が広がっていた。頼光一行は途方に暮れたが、一方で三人の男たちは深い谷川を軽々と飛び越え、楠の大木を難なくたわめて谷川へ架け渡し、一行はその橋を渡り、山路へと分け入った。人跡もとうに絶えた険しい道のりに加え、濃霧が辺りを覆い、一行でさえも危ない足取りであったが、三人は一行の前後に控え、険難があれば、彼らに寄り添い、助け導いた。

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    三神が架けた巨木の橋を渡る場面。