巻4.04 「鬼神に横道なきものを」

神々によって開かれた扉から一行は寝室へと突入し、枕元の童子の姿を窺うと、今や二丈あまりの鬼神の姿へと変貌を遂げ、眠っていてもなお恐ろしい有様であった。

一行は神々の名を唱えて祈念し、控える女房たちを傍らへ避難させ、先ほどの神々の教えに従い、両手足に黒鉄の縄を絡めて四方の柱に縛り付け、四天王が手足を抑え、保昌が胸元に乗りかかった。頼光は剣を抜き、八幡大菩薩に加護を祈りながら、一足飛びに童子の首を落とした。

斬られた童子の首は、後ろに落ちるや否や、眼を見開き空へ舞い上がり、切り離された胴体も激しく抵抗したが、五人によって何とか抑えられた。

「鬼神に横道なきものを」

空中の首は、騙されたことに怒りの声をあげ、口から毒を吐き出した。頼光から語られる真実に、なおも怒りが募った童子の首は、頼光の兜に喰らいつくものの、頼光は二重に兜を召していたために難を逃れることができた。

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    酒呑童子が討たれる場面。