巻4.03 寝所へ

一行はそれぞれ心の中で神々に祈り、武功開運楼を出発した。その後再び大きな門に行き当たったが、日頃は警備を任されている四天らが不在のため、難なく通り抜けることができた。

門を抜けると、いよいよ酒呑童子の寝所と思しき鐵の宮殿が聳え立っており、一行を圧倒した。しかし、次第に近づいてみると、鬼の岩屋にもかかわらず、不思議な四方四季の庭もそこにはあり、人々は、まるで都で親しむような優雅な風景にしばし見入った。

一行はついに「酒徳長寿殿」と呼ばれる宮殿の内に踏み入り、童子が休む寝室の扉を押し開けようとするが、びくともしない。一同は途方に暮れるものの、各々氏神の御名を唱えて合掌すると、どこからともなく例の三神が現れた。

神々は、討伐の際、通力を持つ童子が首を落とされてもなお抵抗しないように、予め縄で手足を縛り、そのうえ両手足に四人、胸元に一人が乗りかかり、頼光が首を落とすようにと言い渡し、頑なな扉を容易く押し開いた。

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    3.03

    寝所で鬼の姿に変貌した酒呑童子を描く。