巻3.04 鬼の歌
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語られた酒呑童子の過去に各々は心を傷めたが、顔には出さず、童子を酒でもてなし続ける。童子は今や通力も失せ、都からさらってきた女房達を側に侍らせ、興に乗って歌い出した。
なおも酒宴は続き、童子は眷属の鬼共にも毒酒を勧め始めた。二天(いしくま、かなくま)、四天(あおくま、あかくま、しろくま、くろくま)、その他大勢の家来たちが宮殿にひしめき合い、酒を飲みまわした。
酔いが進み、もはや判断力も鈍ってしまった童子は、眷属たちに今夜は警護の役などはおいて、酒宴に興じるよう言い渡す。またとない機会に、眷属たちは色めきたち、酒を飲み続けた。その中でも、いららき童子という鬼はひどく酔ったあまり、扇を手に取り舞い始め、歌を詠んだ。 あたらしき 都のさかな こゝにきて ゑいをすすむる秋の山風
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