巻3.03 童子の過去

酒呑童子は先達の様子をうち眺め、眼差しや容貌が、武勇、神通に優れた者として名高い源頼光によく似ており、頼光の従者たちも勇猛果敢で名高く、以前足元をすくわれたことがあったと思い当たる。

それでもなお強気の童子に対し、頼光は三神から授けられた酒を、都からの酒と称して振る舞う。綱が酌をし、童子は酒を飲み始める。

大酒を飲んで酔っ払った童子は、頼光に問われ、前の棲み処であった比叡山を伝教大師に追い出され、数々の霊山を流浪し、めぐりめぐりて大江山に着いたが、今度は弘法大師に調伏されてしまい、再び各地を漂流し、弘法大師が入定した後、再びこの地に戻ってきたのだと、自らの過去を語り始める。

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    酒呑童子に毒酒を振る舞う場面。