巻2.05 門前での応酬

女房の言葉にまかせて進み、鐵の門に行き着くと、門の内から、警護の鬼と思しき異類異形たち二三十人が飛び出してきた。

鬼たちが外からやってきた頼光一行を取り囲み、武器をもって威嚇する有様はとても恐ろしいものであったが、武勇に長けた人々は、怯むことなく鬼たちに対峙する。先達である頼光が真っ先に進み出て、自分たちは筑紫彦山の山伏であると告げ、不動明王の威徳を盾に、そこを退くよう数珠を押し揉みながら威嚇する。鬼神たちは承り、酒呑童子に頼光一行の件を伝えにゆく。

長寿殿という宮殿で女房たちに世話をさせていた酒呑童子は、山伏たちがこの山に踏み込んだことに驚きつつ、まず彼らを中門に通し、不動明王の罰を被らないよう彼らを悪いように扱うな、直に私も彼らと対面しようと鬼たちに告げる。中門に通された頼光一行は、荷を降ろして、暫し休息する。

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