39.岡崎 浄瑠璃姫(『双筆五十三次』:初代広重、三代豊国)

「十二段草子」

 目録を見ると、「岡崎 浄瑠璃姫」とある。本図に描かれているのは、「十二段草子」と呼ばれる物語に登場する浄瑠璃姫と牛若丸。「十二段草子」は御伽草子や古浄瑠璃として古くから知られている物語。金売吉次とともに奥州へと下る牛若丸は、三河国矢矧の里(現岡崎市)の長者の娘である浄瑠璃姫を見初め、契りを結ぶ。奥州への旅の途次であるため二人はわかれるが、牛若丸は蒲原宿で重い病気にかかり、吹上の浜に打ち捨てられる。お告げによりその危機を察した浄瑠璃姫が吹上の浜へ急ぎ祈ったところ牛若丸は蘇り、姫よ別れて奥州へ旅立つという筋。

風景解説

 矢矧川と岡崎宿の様子が描かれている。岡崎宿は岡崎城の城下町。画面右上に見えている岡崎城は徳川家康が生誕した城として有名で、岡崎宿はかなりの規模を誇った。語中には「矢矧川 やはぎのはし」という文字が見える。矢矧橋は208間(約374メートル)に及ぶ東海道最長の橋。本図は藤川宿からの眺め。

参考文献

渡邊晃『謎解き浮世絵叢書 三代豊国、初代広重 双筆五十三次』(二玄社・2011)

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