37.赤坂(『双筆五十三次』:初代広重、三代豊国)

人物解説

 楽しげに踊る二人の人物は三河万歳を演じる太夫(右)と才蔵(左)。万歳は正月を寿ぐ門付芸の一種で、二人組でも三河の万歳は有名で、徳川家康に保護された芸人たちは、図のように帯刀を許されていた。本図人物画の作者三代豊国は前名の国貞時代に英一蝶に傾倒し、英派の絵師に入門している。本図にはその影響が出ており、どこか伝統的な絵画を思わせる画風となっている。

風景解説

 夜空には満月が浮かび、その下には薄暗い街道の風景が描かれている。蛇行して進む道筋には、菅笠をかぶり、合羽を羽織った人物が歩みを進めている。御油宿と赤坂宿の間は2キロも離れておらず、東海道で最も宿場どうしの距離が短い区間であった。その道筋には本図のような松並木が続いていた。

参考文献

渡邊晃『謎解き浮世絵叢書 三代豊国、初代広重 双筆五十三次』(二玄社・2011)

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