30.浜松(『双筆五十三次』:初代広重、三代豊国)

人物解説

 馬に乗っている年増女性は、菅笠を被り、眉を剃り、お歯黒をしており、合羽を着ている。馬の背に見えるのは明荷と呼ばれる籠。両側に括り付けられ、その上に蒲団などを敷いて旅人が座る。馬の腹には腹当てが見え、「仕合吉」という縁起をかつぐ文字が染め抜かれている。後に見えるのは人足。街道を旅する旅人たちは、徒歩で宿場から宿場を移動するものもあれば、宿場の問屋場でお金を払って人足や馬に荷物を運んでもらうこともあった。

風景解説

 手前に浜辺を描き、遠州灘の様子を捉えている。画面右側には近像型構図で大きく松の木を配し、沖合を望む。中景から遠景にかけての画面右側にも松の並木が立ち並ぶ様子が見えている。

参考文献

渡邊晃『謎解き浮世絵叢書 三代豊国、初代広重 双筆五十三次』(二玄社・2011)

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