28.袋井(『双筆五十三次』:初代広重、三代豊国)
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人物解説
抜け参りの子どもが柄杓を差し出してお布施をもらっている場面。兄弟とおぼしき若い娘と少年が描かれている。少女は背中に菅笠を背負い、着物の上には「笈摺」と呼ばれる白い袖なしの羽織を着物の上に重ねている。赤字の部分には「三十三番巡礼」の文字。傘にみえる「同人二人」は、四国八十八所巡礼では弘法大師が一緒に歩いているという意味。同行者の人数を書く場合もあり、本図の場合は西国三十三所巡礼であるからそっちであると思われる。少女は首からたくさんの納札(名前や出身地、生年などを書き、巡礼先の霊場で納める札)をかけている。
風景解説
『東海道名所図会』袋井宿の項には、昔この地の四方が丘で、その中央に袋のような田園があり、多いな泉があったからという地名の由来が記されている。遠景まで田畑が広がり、手前の道に大きく馬の尻が捉えられている。中央の集落が袋井淑人思われる。
参考文献
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