6.戸塚 旅人宿女 (『双筆五十三次』:初代広重、三代豊国)
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人物解説
本図は旅籠屋での一場面を描いたものと思われる。画面中央手前には燭台が描かれ、ろうそくに火がともっていることから、夜だという事が分かる。旅先での宴会の様子と思われ、酒肴を旅籠の女中に持ってこさせたところと思われる。男性の表情や手招きのポーズから、女将をせかす様子が伝わってくる。盆の上に載っている深鉢は、当時の宴会の様子を描いた浮世絵でよくみられるもので、煮物類などが入れられることが多い。
風景解説
上り坂の様子で、手前には数件の建物が見え、急な坂を何人かの旅人が登ってゆく様子が描かれている。道の両側に続いているのは松並木。戸塚宿は東海道5番目の宿場町。戸塚、吉田、矢部という3つの町からなり、本陣や脇本陣は戸塚町にあった。江戸からの距離は十里半にあたり、旅人たちはこの宿場で旅の一泊目を過ごすことが多かった。戸塚宿の西側の出口にあたる上方見附を出ると、大坂と呼ばれる上り坂となり、場所によっては一番大阪、二番大阪、白土坂という3つの名前で呼ばれていた。本図の坂はそのいずれかの坂を描いたものと思われる。
〈参考文献〉
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