4.神奈川 鎌持(『双筆五十三次』:初代広重、三代豊国)
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人物解説
槍の先の報に赤いお札か、短冊のようなものが結んである槍を持った男が描かれている。首には菅笠を掛、腰には日本の刀。男は女性の鬘を付けている。団子を食べている男の口の周りには青々としたひげの剃り跡が見える。画面左手前には駕籠らしきものが見えており、茶屋の女性が駕籠に近づき、お茶を差し出している。女装した男が何者であるかは、はっきりとは分からないが、神奈川宿から少し先にある戸塚宿の八坂神社に現在も伝わる「お札まき」と呼ばれる祭りがあり、その祭りでは、男十数人が女装して踊り、内音頭取り一人が本図の鬘によく似た女装の鬘を被る。また、やりの先に結び付けられているような札を配って回る。
風景解説
神奈川宿から海側を眺めた風景。画中の描き込みには「従金川台 芒横浜牧眺望」とある。青のぼかし上げで表現された海が画面中ほどまでツ好き、帆を下した船が二そう浮かんでいる。神奈川宿は東海道三番目の宿場町。古くから神奈川湊を伴って栄えてきた。町の西半分は大地で、宿場の徒途中から坂道となる。
〈参考文献〉
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