20.府中 安倍茶摘(『双筆五十三次』:初代広重、三代豊国)
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人物解説
籠を左手に抱えている女性と小さな籠をつるした天秤棒を下げた小さな子供が描かれている。この籠の中身は其色からも想像がつく通り、お茶の葉である。本図は晩春から初夏にかけて行われる、茶摘みの様子を描いたもの。現在でも静岡市は茶の一大産地と知られているが、本図に描かれている府中周辺にも茶の生産地があった。特に安倍川周辺で作られる本山茶は有名で、鎌倉時代の僧、聖一国師円じが宋から持ち帰った茶の実から栽培が始まったと言われている。江戸時代には徳川家御用達となったことでも知られている。
風景紹介
府中宿から東海道を少し西に進んだところにある安倍川の渡しの風景が描かれている。府中宿は現在の静岡県静岡市葵区に位置する。昔はするが国の中心であったことから、駿府とも言い、室町時代から戦国時代に描けては今川氏の都として栄えた。また、徳川家康は幼少期と晩年をこの地で過ごしたため、大変縁の深い場所と言える。東海道の宿場の中でもひときわ規模が大きく各式高かった。
〈参考文献〉
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