2.品川 身仕舞部屋(『双筆五十三次』:初代広重、三代豊国)
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人物解説
宿場から江戸湾の眺めを背景に、二人の女性が描かれる。後ろ向きの女性は煙管を手に、鏡台に立てかけられた稽古本を読んでいる。鉄ねを付けたもう一人の女性が背後から彼女の髪を梳る。品川宿には大きな遊郭があり、飯盛女としてたくさんの遊女が抱えられていた。品川宿は江戸の北側に位置する吉原に対し「南」とも呼ばれ、吉原に次ぐ規模を持つ遊郭であった。本図は旅籠内での遊女或いは芸者の身支度の光景を表したものだろう。
風景解説
品川宿から海側を眺めた光景。宿場町と思しき集落は画面の右下に描かれるのみで、画面の大半は遠景までツ木菟海の描写に費やされている。品川宿は江戸と地方を往来する旅人たちの出発点であり、また終着点でもあった。遊郭として賑わった計ではなく、付近には御殿山の桜や海晏寺の紅葉、宿場の東に広がる江戸湾の眺望など、江戸屈指の景勝の利地でもあった。
〈参考書籍〉
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