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【テーマ設定】
インタビュー計画概要:
コミックマーケット(以下、コミケ)の初期メンバーである安田かほる氏と市川孝一氏を対象とし、ネット文化の前史としてのオタク文化がいかに形成され、展開してきたかを、当事者の経験と運営・産業史的観点の両面から記録する。
大テーマ:コミックマーケットの起源と展開:オタク文化およびネット文化の前史とその変遷
中テーマと主な焦点:1.個人の経験から見る同人文化の黎明と広がり
1970年代後半から80年代にかけての初期コミケの状況や、安田氏の個人的な経験に焦点を当てる。軽オフセット印刷の普及がもたらしたメディア革命、当時の二次創作やコスプレの実態、さらに初期に出展していた作家たちの活動について掘り下げる。
2. 運営・産業史的視点から見るコミケの成長
コミケの経済規模や市場規模の推移、会場確保のノウハウ、法人参加の広がりといった運営側の実態を検証する。また、世の中におけるコミケの扱われ方の変化(ニュース等での取り上げられ方)や、入場料制の導入、コロナ禍による影響など、組織運営上の重要なターニングポイントについて議論する。
3. 創作コミュニティの規律とネットルールへの接続
「おたくの規律」がなぜ保たれているのか、商売ではない部分での個人の繋がりや、二次創作に対する懸念と許容の歴史について深掘りする。SNSの普及による事前チェックの一般化や海外との繋がりを含め、オンライン上のルールや文化がいかにして形成されていったのかを探究する。
期待される成果:
インタビューを通じて、コミケという巨大な創作の場がいかにして継続されてきたのかという運営知見を明らかにするとともに、それが現代のネット文化やSNS上のコミュニティにどのような影響を与えたのかを解明することが期待される。また、黎明期の貴重な証言を記録することで、日本の同人文化・オタク文化の変遷を体系化する一助となることを目指す。
【参考文献】
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安田かほる_市川孝一
