伊藤博之

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【テーマ設定】

インタビュー計画概要:

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社の代表取締役である伊藤博之氏を対象とし、同社の創業から現在に至るまでの歩みを、インターネット文化や音楽制作環境の変遷と重ね合わせ、時系列に沿って深く掘り下げる。

大テーマ:インターネットを通じた創作文化の変容と、初音ミクを起点とするCGM・UGCエコシステムの構築

中テーマと主な焦点:

1.創業期からボーカロイド開発前夜

北海道・札幌における創業の経緯や、サンプリング素材・着メロ事業といった初期ビジネスの展開、そしてDTMやMIDI運動との関わりについて焦点を当てる。音楽クリエイターとの接点や、初期のCGM文化に対する当時の認識を掘り下げる。

2. 初音ミクの誕生とムーブメントの形成

ヤマハとの協力関係、MEIKO・KAITOから初音ミクに至る開発の意気込み、藤田咲氏の声を採用した音声合成の工夫などを議論する 。また、リリース直後の爆発的な盛り上がりと、本来のビジネスモデルとの乖離、ニコニコ動画を介したコミュニティ形成の実態を検証する。

3. ライセンス設計と創作文化の持続性

プラットフォーマーとしての制度整備に注目し、ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)の成立やクリエイティブ・コモンズの採用経緯を詳述する。さらに、札幌発のベンチャーとしての志や雪ミクの展開、ネット社会における表現の自由とビジネスのバランスといった、同社が掲げる思想と未来像を明らかにする。

期待される成果:

インタビューを通じて、ボカロ以前のネット文化とそれ以降の変化を整理し、ツールがいかにして特定の音楽ジャンルやコミュニティを成立させたのかという文化史的知見が得られることが期待される。また、二次創作を公的に許容する先駆的なライセンス運用のノウハウは、デジタルコンテンツにおける著作権の在り方に重要な示唆を与えるものである。最終的には、ネット社会が個人の自己表現や社会貢献に果たす役割について、開発者の視点から再定義することを目指す

【参考文献】

青木直史.2004.「サッポロバレーにおける文部科学省知的クラスター創成事業『札幌ITカロッツェリア』の取り組み」.『コンピュータ&エデュケーション』16:10-15.

伊藤博之.2012.「初音ミク as an interface」.『情報処理』53, no. 5:477-82.

------.2013.「創作したいという本能」.『ボカロ批評(VOCALO CRITIQUE)』08:6-7.

------.2023.「音楽とテクノロジーの親和性について」.『情報処理』64, no. 4:160-61.

「伊藤博之社長に聞く:インタビュアー 佐藤誠」.2012.『映像情報メディア学会誌』66, no. 1:巻頭1-9.

小山友介.2013.「初音ミク:N次創作が拓く新しい世界」.『システム/制御/情報』57, no. 5:189-94.

「クリプトン・フューチャー・メディア株式会社:伊藤博之が思い描くクリエイティヴのあり方」.2017.『別冊ele-king 初音ミク10周年――ボーカロイド音楽の深化と拡張』.佐々木渉、しま監修.Pヴァイン:42-47.

後藤真孝.2012.「『初音ミク』はなぜ注目されているのか」.『学術の動向』17, no. 5:630-37.

後藤真孝、中野倫靖、濱崎雅弘.2014.「初音ミクとN次創作に関連した音楽情報処理研究:VocaListenerとSongrium」.『情報管理』56, no. 11:739-49.

情報処理学会編.2012.『CGMの現在と未来:初音ミク、ニコニコ動画、ピアプロの切り拓いた世界』.別刷.

登坂和洋.2009.「転機迎えたサッポロバレー」.『産学官連携ジャーナル』5, no. 10:13-16.

濱崎雅弘、武田英明、西村拓一.2009.「動画共有サイトにおける大規模な協調的創造活動のネットワーク分析:ニコニコ動画における初音ミク動画の制作コミュニティを対象として」.『人工知能学会論文誌』24, no. 1:157-67.

「村上隆×伊藤博之 初音ミクは日本のイコンになるか?」.2013.『美術手帖』65, no. 985:94-101.

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