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【テーマ設定】
インタビュー計画概要:
NHK第1期生としてテレビ演出からキャリアをスタートさせ、アニメーション黎明期から長期間にわたり第一線で活躍する辻真先氏の視点を通じ、映画とは異なる「テレビ(放送)」というメディアの特性がいかにアニメーションの演出や脚本構造に継承・発展していったのか、その歴史的連続性を明らかにすることを目的とする
。 大テーマ:草創期のテレビからアニメへとつながる放送文化(演出)の連続性とその発展
中テーマと主な焦点:1.テレビ演出の特性とアニメへの継承
テレビは「消えることが前提」であり、「よそ見をしていても理解できる」といった、映画とは異なる独自の演出論がいかに形成されたか
。また、 草創期の実写テレビ演出の経験が、後のアニメ脚本や演出にどのような影響を与えたかを聞く。2.テレビアニメビジネスの黎明と手塚治虫
「漫画の神様」手塚治虫がなぜ『鉄腕アトム』のアニメ化(虫プロダクション設立)に踏み切ったのか、その動機と背景を伺う。また、
脚本家としての視点から見た、当時の手塚治虫の人物像と制作現場の熱気について聞く。3.オリジナル作品の台頭と玩具ビジネスへの構造転換
第二次怪獣ブームから変身・ロボットブームへ移行する中で、スポンサー主導(玩具販売目的)のビジネスモデルがいかに確立されたか
。 原作付きアニメから、アニメ制作会社主導の「オリジナル作品」へと主流が変化していく過程で、現場(制作会社)にどのような力がついていったかを伺う。4.「パイロット(第1話)」脚本家の役割と制作の実態
なぜ多くのオリジナル作品で第1話(パイロット)の執筆を依頼されたのか。世界観を決定づけるその役割と意図を確認する。また、『デビルマン』等の具体的な作品を例に、旧来のマンガ原作依存型とは異なる、アニメ独自の企画・脚本打ち合わせがどのように進行したかも伺う。
期待される成果:
映画史の文脈だけでは語りきれない、テレビというメディア独自の制約と特性(「ながら視聴」を許容する演出など)が、日本のアニメ表現に与えた影響を構造的に解明できる
。また、 手塚治虫による黎明期から、玩具メーカー主導によるオリジナルロボットアニメ全盛期への移行プロセスを、数多くの第1話を担当した脚本家の視点から実証的に記録できる。さらに、マンガ原作を持たない作品において、ゼロから世界観やキャラクターを構築する際、脚本家と制作現場・スポンサーとの間でどのような折衝が行われたか、その創作のメカニズムを明らかにできる。【参考文献】
辻真先. 『辻真先集』. リブリオ出版, 1999.
辻真先. 『辻真先先生のエッセイ塾 : 旅は人生、人生は旅』. 展望社, 2010.
辻真先. 『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人 : 辻真先インタビュー』 1. アンド・ナウの会, 2013.
辻真先. 『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人 : 辻真先インタビュー』 2. アンド・ナウの会, 2014.
辻真先. 『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人 : 辻真先インタビュー』 3. アンド・ナウの会, 2016.
辻真先. 『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人 : 辻真先インタビュー』 4. アンド・ナウの会, 2017.
辻真先. 『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人 : 辻真先インタビュー』 5. アンド・ナウの会, 2018.
辻真先. 『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人 : 辻真先インタビュー』 6. アンド・ナウの会, 2019.
辻真先. 『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人 : 辻真先インタビュー』 7. アンド・ナウの会, 2020.
辻真先. 『僕らを育てたシナリオとミステリーのすごい人 : 辻真先インタビュー』 8. アンド・ナウの会, 2021.
辻真先. 『辻真先のテレビアニメ道』. 立東舎, 2021.
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