末高弘之

本ページで提示している関連資料の解説はこちらをご参照ください。

【テーマ設定】

インタビュー計画概要:

デジタルカメラの歴史に名を刻むカシオ「QV-10」が、いかなる着想と経緯を経て開発されたのか、そして市場にどのような革新をもたらしたのかを探求する。さらに、同社がデジタルカメラ事業から撤退するに至った背景までを、開発当事者の視点から多角的に解明することを目指す。

大テーマ:デジタルカメラの黎明期を拓いた革命機「QV-10」、その誕生と革新の深層

中テーマと主な焦点:

1.QV-10の開発思想

テレビカメラ技術からの転換 、先行モデルVS-101からの改良点 、そして液晶画面の着想源を探る。「メモ代わりの使用」という利用想定や、当時台頭し始めたPDAに代表されるハンドヘルドコンピューティングの発想があったか否かについても話を伺う。

2.QV-10開発の具体的な経緯

カシオの既存製品「データバンク」からの着想の有無 や、海外工場活用といったコスト抑制のための戦略的工夫 について明らかにする。

3.市場投入後の反響と影響

発売後のユーザー動向の観測実態 、市場の反応が開発陣の想定と一致したか否かの検証 、そして後続のデジタルカメラ開発への影響 を問う。

4.「カメラ」という概念のイノベーション

コミュニケーションツールとして評価されたQV-10を、「写真機」としての革新という観点からどう位置づけていたのか 。フィルムからデジタルへの移行期における写真文化の変化に対する見解や、末高氏自身のカメラ観にも迫る。

5.デジタルカメラ事業撤退の要因

QV-10からEXILIMへの製品戦略の転換を振り返りつつ、競合製品やスマートフォンの台頭を背景とした事業撤退の決断に至るまでの葛藤や当時の想いを明らかにする。

期待される効果:

本インタビューの実施により、画期的な製品であったQV-10の誕生秘話や開発思想を当事者の証言として記録することが可能となる。また、製品が市場に受容され、やがて技術革新の波によって事業が終焉を迎えるまでのライフサイクルを具体的に解明できる。これは、製品開発におけるイノベーションの本質や、市場の破壊的変化への対応の重要性に関する、極めて貴重な示唆を得る機会となるであろう。

【参考文献】

ITmedia. 「カシオ「QV-10」が「未来技術遺産」に登録」. ITmedia NEWS. 2012年9月4日. https://www.itmedia.co.jp/dc/articles/1209/04/news091.html.

神尾寿. 「開発者に聞く「EXILIM」の思想」. ITmedia. 2002.

山田久美夫. 「デジタルカメラ QV-10開発者インタビュー」. PC Watch. 1996.

吉田典之. 『カシオのミニ電卓から生まれた「究極のデジカメ」―カシオ計算機「QV-10」』. 日経BP, 2003.

「[あの日あの時]デジカメ人気 カシオ計算機「QV-10」発売(1995年)」. 『読売新聞』. 2005年11月13日.

「(けいざい+)デジカメSOS:下 「自分撮り」特化、生き残りへ」. 『朝日新聞』. 2017年6月1日.

「カシオ、コンパクトデジカメから撤退」. 『日本経済新聞』. 2018年4月25日.

「カシオ、デジカメ撤退 スマホに押され不採算」. 『日本経済新聞』. 2018年5月10日.

「デジカメ作った会社 カシオ QV-10」. 『AERA』. 2016年10月31日.

「世界を変えたデジカメ「QV-10」開発の舞台裏」. 『日本経済新聞』. 2015年12月2日.

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:
  • [編集]

arrow_upward