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【テーマ設定】
インタビュー計画概要:
西森氏の基礎研究であるスピングラス理論から、量子コンピュータの一方式である量子アニーリングの提唱に至るまでの経緯と、その後の実用化、そして今後の展望について多角的に質問することで構成される。
大テーマ:スピングラス理論から量子アニーリングの提唱に至る研究の歴史と今後の展望
中テーマと主な焦点:
1.量子アニーリング提唱の経緯
自身の専門である統計物理学の研究から、どのようにして量子アニーリングの着想を得て、理論として確立したのかを問う。
2.D-WAVE社による実機開発
自身の理論がD-WAVE社によって世界で初めて商用実機として開発された際の関わりやエピソード、特に2011年の発表当時の出来事に焦点を当てる。
3.量子コンピュータ開発の全体像と展望
アニーリング方式の将来性に加え、現在主流となっているゲート方式など、多様な量子コンピュータ開発の動向について専門家としての見解を尋ねる。また、産業史における量子コンピュータの重要性や、米国、中国、EUなど海外と日本における開発支援体制の違いについても考えを聞く。
4.日本の科学技術と人材育成
日本が量子コンピュータのような新しい科学技術分野で世界的な成果を上げるために何が必要か、特に教育や人材育成の観点から意見を求める。
期待される成果:
このインタビューを通じて、量子アニーリングという革新的なアルゴリズムが、スピングラス理論という基礎研究からいかにして生まれたのか、その学術的・歴史的背景を明らかにすることが期待される。さらに、理論がD-WAVE社によって実用化される過程や、世界の開発競争における日本の立ち位置、そして未来の技術発展に必要な人材育成について、提唱者である西森氏自身の言葉で記録することにより、日本の科学技術史における貴重な証言を得ることを目指す。
【参考文献】
『MITテクノロジーレビュー』編集部. 「量子アニーリング提唱者・西森秀稔が考えるイノベーターの条件」. 『MITテクノロジーレビュー』, 2020年10月7日.
https://www.technologyreview.jp/s/220844/interview-to-judges-of-innovators-under-35-japan-1/ 西森秀稔, 大関真之. 『量子コンピュータが人工知能を加速する』. 日経BP, 2016.
西森秀稔, 大関真之. 『量子アニーリングの基礎』. 共立出版, 2018.
米国科学・工学・医学アカデミー. 『米国科学・工学・医学アカデミーによる量子コンピュータの進歩と展望』. 西森秀稔, 他訳. 共立出版, 2020.
D-Wave. "An Interview with Dr. Hidetoshi Nishimori, Inventor of Quantum Annealing." D-Wave Blog, February 21, 2018.
Kadowaki, Tadashi, and Hidetoshi Nishimori. "Quantum Annealing in the Transverse Ising Model." Physical Review E 58, no. 5 (1998): 5355-63.
OTAKE, Mac. 「量子コンピュータとは? D-Wave西森教授が語る「量子アニーリング」の現在と理論的保証」. 『ビジネス+IT』, 2018年10月26日.
西森秀稔