丸山正雄

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【テーマ設定】

インタビュー計画概要:

丸山氏の経歴と作品、特に虫プロダクションからマッドハウス、そしてMAPPA、スタジオM2に至るまでのアニメ業界における氏の役割と影響を探ることを目的とする。

大テーマ:虫プロからマッドハウスへー傾奇ものたちと「傾く」アニメの系譜

中テーマと主な焦点:

1. 虫プロ以前の活動

草月アートセンターや現代子どもセンターでの活動に触れ、丸山氏がアニメ業界に入る前の背景を探る。特に、現代子どもセンターが担っていた子供向け消費財のマーケティング調査というシンクタンクの役割にも注目する。

2. 虫プロ時代とマッドハウスの設立

手塚治虫との仕事を中心に、当時の制作体制や担当作品(『W3』、『リボンの騎士』など)について掘り下げる。また、出崎統、りんたろうといった、のちにマッドハウスを共に設立するクリエイターたちとの関わりや、虫プロからの独立とマッドハウス設立の経緯についても探る。

3. マッドハウスの仕事と国際化

『大空魔竜ガイキング』や『ジェッターマルス』などのテレビシリーズや劇場作品での制作協力について詳しく聞く。特に、丸山氏がクレジットされることの多い「企画」や「シリーズ構成」といったプリプロダクションの仕事の重要性に焦点を当てる。さらに、『獣兵衛忍風帖』や今敏監督作品など、90年代から00年代にかけて海外、特に北米で高く評価された作家性の強い作品群がどのように生まれ、海外マーケットに受け入れられたのかを聞く。

4. MAPPAとスタジオM2

マッドハウスを離れ、新たにMAPPAとスタジオM2を設立した経緯と、近年の活動(『この世界の片隅に』、『鬼平』、『PLUTO』など)について聞く。

期待される成果:

このインタビューを通じて、手塚治虫の虫プロダクションからマッドハウス、MAPPA、スタジオM2へと続く日本のアニメーション制作の歴史と、その中での丸山正雄氏の役割を産業史的な視点から明らかにすることが期待される。また、今敏、りんたろう、川尻義昭といった作家たちの才能をいかにして見出し、「企画」として作品に結実させてきたのか、そのプロデュース術を解明し、「傾いた」と表現されるような独創的で作家性の高い作品が、特に海外マーケットで評価された背景と、その今日的な意義を考察することを目指す。

【参考文献】

季刊エス編集部 編. 『マッドハウスに夢中!』. オークラ出版, 2022.

鶴田武志. 「池波正太郎『鬼平犯科帳』のイメージ形成を巡って~小説とテレビドラマの往還, そして, アニメ『鬼平』へ~」. 『文化科学研究』 31 (2020): 21-51.

藤原正仁. 「今敏のつながり合う創造的世界:自己探求の連鎖」. 『アニメーション研究』 18, no. 1 (2016): 15-32.

丸山正雄. 「丸山正雄の『これまでの仕事』」. 『アニメージュ』, 2022年10月.

丸山正雄. 「丸山正雄のアニメ馬鹿一代記」. 『アニメビジエンス』, 2013-2015年, 全9回連載.

宮本裕子. 「今敏による『パプリカ』の翻案に見る、分裂する女性主人公」. 『言語文化』 36 (2019): 49-62.

渡邊真之. 「1960年代の現代子どもセンター・母の会における家庭と教育への関心 一機関紙『子ども相談』にみる幼児・子どもの発達と教育の方法への着目からー」. 『東京大学大学院教育学研究科紀要』 62 (2022): 291-301.

渡邊真之. 「1960年代前半の児童文化運動における教育的子ども観の問い直し 一現代子どもセンターにおける子ども研究をめぐって一」. 『子ども社会研究』 28 (2022): 163-82.

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