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【テーマ設定】
インタビュー計画概要:
日本でインターネットが一般に普及し始めた草創期に、愛玩電子メールソフト「Post Pet」を開発した八谷氏へのインタビューを通して、当時のデジタルサービスの勃興期を探ることを目的とする
。 大テーマ:日本におけるデジタル(インターネット)サービス普及(一般化)の源流とその周辺
中テーマと主な焦点:
1.Post Pet(ポストペット)の開発
インターネットがまだ一部のマニアのものであった時代に、ペットがメールを仲介するという「不完全なコミュニケーション」をコンセプトとしたPost Petを開発するに至った経緯や背景について聞く。当時の市場、企業、ユーザーはどのような状況だったのか、また、その「不完全さ」がなぜ面白さとして受け入れられ、非マニア層へインターネットを広げるきっかけとなったのかを探る。
2.Post Petから派生したサービスと展開
携帯型ゲーム機でPost Petを遊べる「ポケットポストペット」の開発が、モバイルへの展開にどう繋がったかを尋ねる。また、関連が深いプロバイダ事業のSo-netとの関係性や、類似のコンセプトを持つソニー銀行の「マネーキット」についても聞く。
3.オープンスカイプロジェクト
アニメ『風の谷のナウシカ』に登場する架空の乗り物「メーヴェ」の実機を製作するプロジェクトを始めた経緯について聞く。二次創作という文脈からこのプロジェクトをどう捉えることができるかを探る。
期待される成果:
本インタビューを通じて、1990年代半ば以降の日本におけるデジタルサービスの勃興と普及の歴史を、その象徴的な存在である「Post Pet」の開発者・八谷氏自身の言葉で記録する。特に、ペットを介した「不完全なコミュニケーション」という独創的なアイデアが、いかにして多くの一般ユーザーを惹きつけ、インターネット文化の裾野を広げる一因となったのかを明らかにすることを目指す。これにより、人類の歴史が「ネット以前/以降」で分けられるほどの大きな変化が、どのような源流から始まったのか、その重要な一端を学ぶための貴重な証言を得ることを目的とする。
【参考文献】
市原えつこ. 「アートとビジネスを融合させてヒットを生み出す。八谷和彦の仕事術 #クリエイターの生存戦略 〈前編〉」. 『advanced by massmedian』, 2019年7月2日.
.https://advanced.massmedian.co.jp/article/detail/id=1522 稲見昌彦. 「困難に直面したら「よ~し、面白くなってきやがったぜ!」と思えばいい【対談:八谷和彦×稲見昌彦】」. 『リクナビNEXTジャーナル』, 2016年9月21日.
.https://next.rikunabi.com/journal/20160921_m/ 川島プロジェクト. 「ポストペットのモモ、ナウシカの飛行具(メーヴェ)をはじめ、メディアアーティストとしてゼロイチをつくりだす八谷和彦さん」. 『Marketeer』, 2019年6月21日.
.https://marketeer.jp/hachiya/ CINRA編集部. 「「見えないものを見る」ためには 八谷和彦インタビュー」. 『CINRA』, 2011年7月1日.
.https://www.cinra.net/article/interview-2011-07-01-000000-php 『島津製作所 広報誌 ぶーめらん』. 「"メーヴェがあれば良いのに" 想像を想像で終わらせない、夢物語を現実にするプロジェクト」. Vol. 39. Accessed July 12, 2024.
.https://www.shimadzu.co.jp/boomerang/39/02.html セメダイン株式会社. 「感動したことと得意分野とを掛け合わせて考える~メディアアーティスト八谷さんの発想法」. 『セメダイン・レポート』, 2023年12月9日.
.https://www.cemedine.co.jp/cemedine_reports/hachiyakazuhiko_2024.html 八谷和彦. 『ナウシカの飛行具、作ってみた 発想・制作・離陸―メーヴェが飛ぶまでの10年間』. 幻冬舎, 2013.
八谷和彦. 『八谷和彦オープンスカイ2.0』. NTT出版, 2008.
八谷和彦