高橋望

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【テーマ設定】

インタビュー計画概要:

1990年代後半から2000年代にかけて、日本のアニメーションが製作方式やビジネスモデルの大きな転換点を迎える中で、アニメプロデューサーの高橋望氏がプロデューサーとしてスタジオジブリやProduction I.Gといった現場でどのような役割を果たし、日本のアニメ制作のあり方を変えていったのかを明らかにすることである。

大テーマ:日本のアニメ製作は90年代にどう変わったのか。プロデューサー・高橋望が語る、製作方式の革新

中テーマと主な焦点:

1.スタジオジブリでの経験と『もののけ姫』

高橋氏がスタジオジブリに入社した経緯と、制作進行・プロデューサーとして宮崎駿監督や鈴木敏夫プロデューサーから何を学んだかを問う。特に、日本映画の興行記録を塗り替えた『もののけ姫』の製作において、従来のジブリ作品と異なる「製作委員会方式」を導入した理由と、それが後のアニメビジネスに与えた影響について詳しく聞く。また、制作管理として、手描きとデジタルの融合をどのように進めたのかにも焦点を当てる。

2.Production I.Gでの挑戦と『BLOOD THE LAST VAMPIRE』

スタジオジブリからProduction I.Gへ移籍した理由と、そこで目指したことを尋ねる。フルデジタルアニメーションの先駆けとなった『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の企画をどのように立ち上げ、どのような技術的挑戦があったかを明らかにする。また、本作を成功させるためにソニーのような異業種を巻き込んだ新しい座組を構築した狙いと、それがアニメ製作のビジネスモデルにどのような革新をもたらしたかについて話を伺う。

3.プロデューサーとしてのアニメ製作論

90年代を通じて日本のアニメ製作が分業化・効率化していく過程を、プロデューサーの視点からどう見ていたか。高橋氏が考えるプロデューサーの役割とは何か、そして作品のクオリティとビジネスを両立させるために最も重要視していることは何かを尋ねる。さらに、アニメ産業の海外展開について、当時どのような可能性を感じていたかについても聞く。

期待される効果:

インタビューを通じて、日本のアニメ産業が大きな変革期にあった1990年代後半から2000年代初頭にかけての状況を、第一線で活躍したプロデューサーの視点から具体的に記録することができる。『もののけ姫』での製作委員会方式の導入や、『BLOOD THE LAST VAMPIRE』でのフルデジタル制作と異業種連携など、歴史的な転換点となったプロジェクトの舞台裏を明らかにすることが期待される。これにより、現代のアニメビジネスの礎がどのように築かれたのかを検証するための、極めて貴重な証言を得ることができるだろう。

【参考文献】

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く①」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2022年10月号, 86-103.

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く②」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2022年11月号, 65-81.

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く③」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2022年12月号, 35-51.

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く④」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2023年1月号, 81-98.

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く⑤」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2023年2月号, 50-67.

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く⑥」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2023年3月号, 48-65.

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く⑦」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2023年4月号, 62-75.

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く⑧」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2023年5月号, 33-43.

柳橋閑. 「薪を運ぶ人 もうひとつのスタジオジブリ物語 映画プロデューサー高橋望に訊く⑨」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心』. 2023年6月号, 22-35.

「特集 3回企画 映画とテレビ 第3回「日本テレビとジブリ」」. 『熱風 スタジオジブリの好奇心 2023年5月号』, 2023, 4-19.

TOKION. 「「アニメージュとジブリ展」の監修・高橋望が語る「鈴木敏夫の編集者としてのすごさ」と「高畑勲と宮崎駿の絆」」. 2021年5月17日. https://tokion.jp/2021/05/17/nozomu-takahashi-talks-about-isao-takahata-and-hayao-miyazaki/.

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