A2-3-2 「諸国名所百景」

作品名:「諸国名所百景」「遠州 秋田権現 袋井凧」
絵師:歌川広重〈2〉
判型:大判錦絵
出版:安政6年(1859)
所蔵: Art Institute of Chicago (AIC-1990.607.99)

凧あげカテゴリーで並列して取り上げた「子供遊凧あげくらべ」と比較してみると凧は楕円の絵凧、あげているのは3人の大人であるという点が異なっていることが分かる。このような大判で手の込んだ凧は当時にしても高価であり、大人向けの玩具として扱われた。またこの楕円の凧は静岡県袋井市に伝わる袋井丸凧と呼ばれるもので、形は円形、骨は淡竹(はちく)で、回し骨を使うのが特徴である。本作、歌川広重の「諸国名所百景」「遠州 秋田権現 袋井凧」に取り上げられ、その後一旦は丸凧の伝承は消えて、凧上げの風習もなくなっていたが、昭和六十二年、市内の有志の尽力により郷土に伝わる丸凧の文化が再現され、現代に受け継がれている。なお、日本各地に同心円の凧は多く見られるが、凧を上手く揚げる為に丸い形になったとは考えにくく、太陽信仰などに関連しているのではという説がある。(香川)


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