B1-0 鉄板妖怪と江戸・黄表紙にみえる妖怪観
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作品名:「化物の夢」
絵師:喜多川歌麿
判型:ー
出版年:寛政末
所蔵先:MFA_Boston(MFA-21.6428)本作品は、美人画の第一人者として有名な喜多川歌麿画の妖怪画『化物の夢』である。その作品名の通り、少年は妖怪たちが登場する悪夢を見ており、その表情も苦しそうである。悪夢に登場するのは、見越入道や1つ目小僧たち。母親が起こしに来たため、妖怪たちは退散しているが、「また晩にうならしてやらふ」「お袋が起こさねへともっと脅してやるのに」「よしよし、晩にはお袋に怖い夢を見せてやらふ」などど、捨て台詞を吐いている。
本コーナーでは、まずは本作品の悪夢にも登場している見越入道のような、妖怪たちの中でもよく登場する鉄板妖怪たちにクローズアップし、彼らの由来や特徴などを紹介する。そして、次にそれらの妖怪たちが江戸の出版物である草双紙の中ではどのような立ち位置、扱われ方をしてきたのかについて紹介したいと思う。現在では、妖怪=恐怖の対象というイメージがあるが、江戸時代においての妖怪に対するイメージは大変滑稽なものであった。